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ある日、ついに彩に彼氏が出来た。
彩はとても幸せそうだった。あの笑顔が見られるなら、そんなの別に構いやしなかった。

しかし近頃彩は笑わなくなった。話しかけても曖昧な返事しか返ってこない。

今まで色々な悩みを私に言っていたのに、言わなくなった。何故だろうと私は思った。

彩が私の傍からいなくなると毎日がつまらなく感じた。
私は昔から男勝りで口調が悪く、目付きも悪いため中々友達が出来なかった。

そんな中で彩は何も感じていないような口振りで私に話しかけてくれた。


“優香里ちゃん、あーそぼ!”


ドン


はっと現実に戻り、肩に何かぶつかった衝撃を受けた。
手に持っていた書類の紙がばさばさと廊下の床に散らばった。


「わりィ」


男の声、顔を見ると同じクラスの倉橋桂だった。倉橋は私の手から落ちた紙を全て拾い集め、私に渡した。


「はいよ」

「あっあぁ、ありがと」


 確かコイツ前に彩へ告白した奴だな。今は彩と友達、彼女はいないって聞いたな。

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