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「どーした、疲れがきたのか?」
 不安そうな表情で覗き込む進君に「大丈夫だよ」と言おうとしたけれどつい先ほどまで考えていた想いが出てしまった。
 進君は私の向かい側に座りながら真面目な表情でソレを聞いて、そして優しく頭を撫でてくれた。
「バーカ、俺は公の部分でも亜矢に癒されているんだよ。
 俺は亜矢が淹れてくれるお茶とか、他の奴からすれば事務がして当然とかって仕事してくれて感謝してる。
 プライベートでもさ、奢られるのが当たり前じゃなくて対等でいようとしてくれてて、でも甘える部分は甘えてくれる所が嬉しい。
 …ドラマとかみたいに弱いところが無くても好きだとか言えないけど俺は亜矢が好きだから。
 亜矢との、この関係を俺は欲しがっていたから言葉にして伝えたんだ」
 同じ気持ちなのが嬉しかったんだ、そう付け足した後に今度は優しく頬を撫でてくれる。
 何時だって言葉にしてくれて行動に移してくれる進君と付き合って、人の気持ちは言葉にしないと分からないというのを理解した。
「ありがとう…進君、大好き…」
「…俺は愛してるよ、だからー…この先、俺達の関係が続いていくならこの恋を最後にしたい」
 彼の言葉に、ああこれはプロポーズなんだろうかと思えば視界が涙で滲んだ。

 目に見えないものを形にして、いつか形が無い状態でも伝わりあえればいい。
 そんな風にしてー…この出会いを、関係を、確かなものにしていければいい。
 分かり合う為に、擦れ違わないように、擦れ違っても別れずに直していけるように…そんな風にして最後は共に終われたら良いと、この夜に感じられた。


END

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