2/4 月末の金曜は忙しい、それはどんな職種にも変わりはなくて事務である私は残業で会社に居る。 「なんで今月はこんなに処理するものが多いかなぁ…」 決算月で翌月は師走と言うのも有り忙しいのは勤めて数年で理解しているけど零れる独り言はまだ残っている書類の山があるから。 もう1人の事務員は結婚していて子供も居るので残るのは必然的に独身である私となる。 このご時勢に残業代が出るかどうかと問われれば親会社がしっかりしていて子会社である此処も業績は良いので出るからまだ救いかもしれない。 これで残業代が出ないとなったらその時は諦めてぶつぶつと文句を言いながら書類を片付け…ああ、暗いかもだけど忙しかったりテンパると独り言って漏れちゃうもんだと思う。 「なんで溜め込むかなぁ…これなんか上旬の日付じゃない」 溜息を吐きながら次の書類に手を伸ばしながら日付を確認すれば落ち込みそうになる。 確かにお客さんの都合とかで伝票の処理発行が遅くなる事はあるけど、そうじゃない書類が紛れ込んでいる事もある。 「っとに、営業の奴等もしっかりしろってーのよ。 後輩も真似して書類出すの遅くなってんだから…ほんと、使えない」 どうせ誰も居ないだろうとぼそりと呟きながらキーボードへ指を置くと同時、事務所の入り口から声が聞こえた。 「…俺はしーっかり指導したけどなぁ?」 その言葉は私の独り言が聞こえていたのだろう、でなければそんな事は言わない。 「お、お疲れ様でーす。今日は直帰じゃなかったんですか?」 取り繕うような笑みを浮かべながら振り返り声の主の方に視線を向けると、そこにはスーツを着た同い年の男が立っていた。 「翠川さんが残業って後輩が言っていたから差し入れを持ってきたんだがー…」 いらないみたいだなぁ? と意地悪そうな笑みを浮かべながらデパ地下にある店の袋を掲げる。 それは女性社員にも好評な低カロリーのお店の物で午後8時近くなるであろう今の時間帯に食べても良いような物で…。 「すみませんでした、久保さんはきっちり指導をしているナイスな先輩です」 「ん、分かれば良い。とりあえず休んで飯にしろ、どーせ亜矢の事だから休憩も殆どせずにやってたんだろ?」 そう言い中に入りミーティング兼お昼休みの食事場として使われている、パーテーションで区切られている場所にあるテーブルへ向かう。 私は名前で呼ばれて少し恥ずかしいと思いながらも書類を置いて同じように移動する。 [しおりを挟む] [mokuji] |