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「あのさ、合コンしない?」

「合コン?」

「うん!クリスマスまでには彼氏とか欲しーじゃん?久礼葉って彼氏いなかったよね?」

「まあ、いないけど……」


クリスマスなんてすっかり忘れていた。
正直、クリスマスなんてどうでも良かった。一時期は、聖夜は彼氏と過ごしたかったなんて乙女な願望を抱いたが、現在は何とも思わない。

カップルを見れば、ああ幸せそうだな、と思うだけ。羨ましがることなんて、ない。


「じゃあ決まりだねーっ!今日の20時からだから、来てね!」

「え、今日?う、うん分かった」


合コンは初めてだ。
セフレがいる私が言うのもなんだが、そういう経験は一切ない。そもそも私にセフレがいるって言ったら、みんな驚くだろう。

折角くれたチャンス。
少しは、期待してみよう。
これまでの、考え方は全て消して。






『乾杯ー!』


一斉にグラスを当てて、カチンと音が鳴った。皆は楽しそうにお酒を口に運ぶ。

私は一度家に帰って、着替えてきた。
クローゼットにしまってあったワンピースを取り出して、それを着てきた。

前にショッピングしに行った時、思わず一目惚れして買ったものだ。買った後で、私には似合わない可愛らしいデザインだったと気付いて、一回も着ないまましまっていたものだった。

それを着てきたのは、昔の自分を変えようと思ったから。
メイクも、いつもよりちょっと気合い入れてみた。

そうこうしている内に約束の時間になり、こうして居酒屋にいる。ビールはあまり好きではないけれど、たしなみ程度には飲んでおく。


「えーそうなんだぁー!」


私を誘った友人は、早速アピールをしていた。あまりの近さにぎょっとしたが、周りは気にしていないようだった。

人数は私を含めて六人。女性は私以外可愛らしい子で、勝ち目はないだろう。最初から、この子たちに勝とうとは思っていなかったけど。

男性は、普通。悪くはない。かといって、良くもない、かな。詳しく言えば、ちょっと私好みの人が一人いる。

すると、その人と目が合った。男はにっこりと微笑んで、私の近くに寄ってきた。


「こういうの、初めて?」

「あ、はい‥‥。どうすればいいのか、わかんなくて」

「ただ、話せばいいだけだよ。えっと、久礼葉ちゃんだっけ?趣味は何?」

「映画鑑賞、です」

「敬語じゃなくていいよ、俺とタメなんだし」

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