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カバンをベンチの上に置いて、それを枕にしてここで寝ようと思った。

昨日はバイトで、夜更かしをしてしまったので、とても眠かった。学校の中で寝れる場所なんて、保健室ぐらいしかない。

暖かな陽気に、自然と瞼が重くなっていった。




「‥‥誘ってんの?」


目を覚ますと、目の前に見覚えのある顔があった。驚いて即座に上体を起こした。目の前にいたのは、昨日ここにいた茶髪の男だった。


「…誰が」

「お前しかいねぇじゃん」


独り言にも近い台詞に、男は答えた。私はあからさまに嫌な表情をした。思うにこの男は、授業をサボる時にここを利用するのだと思う。

それと、彼女がいるなら──いや彼女じゃなくても、女を連れてきてここで抱いていそうだ。ドアが開いた時、女が出てきたらどうしようかと思っていた。

ぽつり、と何かが頬を掠めた。空を仰ぐと、ぽつぽつと水滴が落ちてきた。雨だ。

男は舌打ちをして、ドアの鍵を開けた。その様子をじっと見ていた私は、男と目が合った。

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