2/7 私は、泣きたかった。 なのに、涙は流れてこなかった。こんなにも苦しいのに、悲しいのに、なぜだろう。突然、そんな気持ちになる。 携帯でメールの返信をする。相手は男。最近、そんな毎日が続いていた。 周りな皆は、彼氏やら彼女やら当たり前のようにいて、私だけ引け目を感じていた。だからこうやって、“誰か”とやり取りしているのかもしれない。 少し期待していた大学も、高校とさほど変わらなかった。 大学の中でカップルを目撃すると、反射的に目を逸らしてしまう。まるで、“恋なんて興味ありません”と言っているかのように。 実際は、そうではない。恋をしてみたいし、彼氏だってほしい。けれど、私の周りの環境が今の私を作った。 恋愛して笑われるなら、興味ないフリをしていた方がいい。恋愛話に入れてもらえないなら、いかにも経験しているフリをした方がいい。 そうやって、生きてきた。 次第に眠くなってくる講義を受けながら、窓の外をぼぉと眺めていた。見えるのは、町の建物、木、校舎。面白いものは何もない。 だが、妙に気になるものが目に留まった。 校舎と校舎の隙間に見えた、倉庫らしき建物。 誰も気に留めないほどの、存在感が薄いその倉庫に、なぜか興味を引かれた。 [しおりを挟む] [mokuji] |