3.1


あれから何も聞けないまま一日が過ぎた。
あの日、夜になってもシルフは帰って来なかった。

たった一日帰って来なかっただけで、私の頭の中はシルフでいっぱいだった。
あの女の子を聞きたかったのに。あの人は誰なんだろう。日本人っぽくなかったな……。


「凛乃ぉぉぉお!」


ばっと目の前に梨絵の顔が間近で現れる。私はびっくりして現実に返った。今日の梨絵はいつもと違う。直感でそんな感じがした。


「どうした…」

「ウェルディがいなくなったの!外から帰って来なかったの!家出しちゃったぁああぁ」


私が言い終える前に梨絵が遮る。私にしがみついて、目に涙を浮かべながら訴えてくる。そんな彼女を宥めようと、ポンポンと頭に手を乗せた。


「猫はたまに帰ってこない時があるよ。家出した訳じゃないから、心配しないで。気紛れな動物だし、気長に待ってようよ」

「うん‥‥」


ぐすっと鼻をこすって、涙を拭いて私から離れた。
ウェルディも帰ってこなかった?そんな、まさか……ね。


- 19 -

[*前] | [次#]
しおりを挟む

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -