S.8
「飛鳥さん!私、猫になっちゃったんです!」
「おぉ凛乃!久しぶりだな。やはり凛乃だったか」
飛鳥の台詞に、カロンと椿は驚く。カロンは、やはりそうだったかと少し悔いていたが、椿はびっくりして言葉も出ない状態だった。
凛乃は飛鳥に言葉が通じたと喜び、“やはり”の言葉に疑問を持った。
「お礼をしたいと言う猫がいてな。そのお礼をしたい相手は人間だから、人間を猫に変えるものをくれと言うからあげてやったのさ。その人間はまさかとは思ったが、そのまさかだったとはな」
「一時はどうなるかと思いましたよ。私、人間に戻れますよね?」
「ああ。何のために私が来たと思っている?」
飛鳥は胸の谷間から魔法瓶に入った粉薬を取り出すと、それを凛乃に振りかけた。光り出した凛乃は光が消えると、元通りの人間の姿になった。
自分の手を眺めて、顔を触ったり耳を確認したりして、ほっと胸を撫で下ろした。これで、一生猫生活を送らなくて済む。
「あぁっ!!」
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