S.4


「どうだ凛乃。楽しめたか?」

「うん。思ったよりも楽しめた!」


凛乃は小太郎に微笑んでそう言うと、小太郎も微笑んだ。


「凛乃って人間の時もカワイイけど、猫の時もすっげぇカワイイな!」

「えっ」


恥ずかしい台詞をさらっと言ってしまう小太郎に、一瞬ドキッとしてしまった。
すると、小太郎は凛乃に顔を寄せてきた。


「なぁ凛乃、俺と子どもを作らないか?」

「えっ、えぇ!?いやいやいやいや私人間だからっ!い、今は猫だけど元は人間だし?ちょっと、話し聞いてる小太郎くん?こ、来ないでーーっ!!

――あ、椿っ!」


偶然通りかかった道路で、スーパーの買い物袋を下げた黒髪の美青年の椿を見つけた。凛乃は椿の元へ走っていって、椿の名を呼んだ。


「椿ー!つーばーきー!私、凛乃だよー!!」


椿は声に気づいて凛乃の方を振り返った。買い物袋を地面に置いて、凛乃の視線に合わせるようにしゃがみこむ。しばらくじっと見つめると、頭を撫でてきた。


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