S.3


「もしかして、あの時助けてあげた猫?でも、どうして?」

「凛乃にお礼がしたくてよ。でも俺猫だし、凛乃は人間。だからお偉いさんにちょっと頼み込んで、凛乃を猫にしてもらうものを貰ったんだ!」


得意げに話す三毛猫に呆れながらはあ、と返事をする。はっきり言って複雑な心境なので素直に喜べないのである。


「俺、小太郎!よろしくなっ」


   *


「ちょっと聞いてくださいよー。私の飼い主さんの息子が、私にねこじゃらしを見せてくるんですけど、流石にこの年齢になったらじゃれませんよねー」

「あー、トメさんあたりだとそうですよねえー。オレっちは、前に出された缶詰の味が忘れられなくて、今の安い缶詰がまずくて食えないっすよ」

「わかるわかるぅ。あたしはあまり人間に触ってほしくないから、触らないで!って言ってるんだけど、全然通じないのー。空気読めなーい」


小太郎に町を案内され道端を歩いていると、猫たちの会話が耳に入ってくる。人間では決して見れない場所ばかりを案内してくれたので、様々な発見があった。

そして、猫にも色々な苦労があるらしい。それと町に住む猫の態度で気付いたが、どうやら小太郎はこの町のリーダーを務めているようだ。


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