S.1


「たっだいまー」


家へ帰宅し、玄関を上がるが誰も出迎えには来ない。今日は、家に誰もいない。凛乃は少し寂しげな顔を見せたが、何か飲み物を取りに台所へ向かった。


「?何だろうこれ」


机の上に白い箱が、ぽつりと置いてあった。よく見てみると、箱の蓋には『モリ リンノへ』と、かろうじて読み取れる字が書かれてあった。

怪しいものではなさそうなので、手に取って蓋を開けると、中には手のひらに乗るぐらいの大きさの水晶が入っていた。

その水晶はとても綺麗に透き通っていて、思わず見惚れた。すると、突如水晶は光り出し、凛乃はたちまち光に包まれた。


「……!?、!!」


眩しい光が消えると、視界が変わっていた。目に見えるものの全てが大きく見える。見上げて見るものがほとんどだ。

一通り辺りを見渡してからふと自分の手を見て、衝撃を受けた。


「な、何これーっ!?て、手が猫になってる――っ!!」


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