7.7
「え?」
唐突に、聞き覚えのある声がした。振り返って見ると金髪の美少年、カロンくんが立っていた。椿の顔がわずかに歪む。
「カロン……」
「おっと、いきなり僕を呼び捨てするなんて、いい度胸してるね。せめて、“カロン兄さん”と呼んでもらいたいな」
「‥‥兄さん?」
カロンくんが兄さん?どういう意味なんだろうと首を傾げた。カロンくんは私が言った言葉に反応して目を細め、私の頭を撫でた。
「そう、凛乃ちゃんの兄だよ」
「ええっ!?」
驚愕して無意識に声が上がってしまった。でもなぜか、その事実を否定できない。そういえば、朝行く前に箸が四膳あったような…。
「嘘と思うなら、ママに聞いてごらん」
悪戯っぽくカロンくんが笑ってみせる。椿は露骨な表情をしていた。と、その隣にも露骨な表情をしている人が立っていた。
「保仁?!どうして、ここに?」
「俺んちの前で、何やってんだよ」
あははと私は苦笑いをする。そこで、椿が私に近付いてきて、耳元で囁くように言った。
「ちなみにマリアさんは、梨絵さんのお兄さんの彼女です」
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