7.6


休み時間になる度、椿は女子に囲まれていたのでちょっと嫉妬してしまったけれど、私に話しかけてくれたので思わず笑顔になった。

時は過ぎて、下校時間。私の隣に椿がいる。椿と一緒に帰ることになったのだ。


「そういえば、あれからどうなったの?」

「それはですね、こちらにとって都合が悪い所だけ皆様の記憶を消去させて頂きました。それと」


椿が歩くのをやめて私を見つめる。綺麗な青い瞳にじっと見つめられたら、私は動けなくなってしまう。


「私はもう猫にはなれません。これからは人間として生きていきます」


力強くなおかつはっきり述べると、私を優しく抱き締めた。猫になれないのは残念に思うけど、椿という存在がいればそれで良かった。

私はゆっくりと椿を抱き締め返した。少し細身、だけど人間の男の子の体格。肌から伝わる人間の温もり。


「僕の凛乃ちゃんに慣れ慣れしくしないでくれるかな」


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