7.5


チャイムが鳴る。ご存知の通り、予鈴ではなく本鈴である。廊下を走っていく生徒は、いつものメンバーだ。


「はぁあーっ。間に合った!」

「おはよう、凛乃。いっつもヒヤヒヤさせるねー」


挨拶してくれた梨絵と話しながら、自分の席に着く。妙にクラスの皆がざわざわしているのは気のせいかなと思ったら、気のせいではなかった。

教室に入ってきた眼鏡の担任が転校生を紹介する、と言った。途端、ざわめきが一段と増した。

どんな人なんだろう。皆の噂では男の子らしいけれど。

担任が入ってきた扉が開き、転校生が入ってきた。


「東成瀬 椿と申します。宜しくお願いします」


…。……。‥‥‥。
漆黒の黒髪に透き通るブルーの瞳。そして、“椿”?

私はどこかでその名前を知っていた──でも、一体どこで?
瞬時、頭痛が襲う。それから、椿との思い出がフラッシュバックした。

あぁ私、椿のことを覚えてる…!!

椿は私に気が付いて柔らかく微笑む。女子一同がキャーと黄色い声を上げた。記憶があるということにこんなにも嬉しいと感じたのは、初めてだった。


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