2.1
漆黒の髪、綺麗な青い瞳に一瞬目を奪われたが、現在の状況を思い出す。
何で裸の、しかも美少年がわ、私のベッドに、と思って考え直す。私を起こそうとしていたのは、多分シルフの声だった。と言うことは、この美少年はシルフ!?
「もしかしてあなた、シルフなの?」
「当然です。正しくは“椿”ですが。私でなければ、誰だと思ったんですか?」
「誰だろうなーあははー…。それより、そこ退いてくれない?」
「すみません」
シルフがやっと私の上から退いた。何か胸の辺りがドキドキ言ってる。当たり前だよね、あんな美少年が目の前にいたら誰でも──
「あれ?ここにいる人は誰ですか?」
へ?とシルフの方を振り向く。シルフの所には、誰もいない。いるはずがない。よく見てみると、シルフは鏡の前に立っていた。
「‥‥‥‥」
「もしかして私、人間になっちゃいました…?」
自分の顔を鏡に近付けてまじまじと見ている。手や腕、足、頭などを見て信じられないとでも言いたげな顔で見ていた。
私も正直信じられない。昨日喋っていた猫は、今度は人間の姿になった。
あり得ない!と叫びたい!だけど、これは現実。受け止めなければ…。
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