6.3


ぎゅっと拳を作る。手に力が入る。息を呑む。


「椿さま、わたくしですね‥‥」


イヤだ。見たくない。
ああそうか、私はこんなにも──


「あなたさまのことが、好きなのです」


マリアちゃんと同じように、いやそれ以上に椿のことが好きなんだ。
今まで感じていたこのモヤモヤは、私が椿のことが好きだから来ていたんだ。

マリアちゃんは真剣な眼差しで、椿を見ている。椿が一歩、マリアちゃんに近付く。

やめて。近付かないで。
私のシルフなんだから…っ!!


「マリアさん、私も好きです」


その気持ちも空しく届かず、私は立ち尽くした。マリアちゃんの表情が一気に明るくなる。椿はマリアちゃんを抱き締めた。私は見ていられなくて、その場を去ろうとした。


「ですが」


そう強く言い、椿はマリアちゃんと距離を置く。椿の表情は、申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。


「私は貴方を恋愛対象としては、見れないんです。お気持ちは本当に嬉しいのですが」


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