6.1
‥‥えええ!?カロンくん、私が好きだったの!?
取りあえず、私はカロンくんの腕の中から出た。突然の出来事で、心臓がバクバク鳴っている。カロンくんは、なぜか残念そうな表情をした。
「凛乃ちゃんは、僕のこと、どう思う?」
一歩間合いを詰められる。そのため一歩、後ろへ下がり、一定の距離を保つ。
「どう思うって…。カロンくんとは、まだ何も知らない状態に近いじゃない。ただ…」
「ただ?」
「ただ、椿と仲が良さそうな友達ってことぐらいしか」
「椿、ねぇ」
皮肉そうにカロンくんは言った。前髪を掻き上げて、私に背を向けて踵を返す。
「分かったよ。もう僕にはどうすることもできない。……これからの幸せを祈るよ。Good luck!」
それだけ言うとカロンくんは、その場を立ち去った。保健室には、私とマリアちゃんと飛鳥さんの三人が残っている。
そこで、チャイムが鳴った。静かだった廊下が、一気に騒がしくなってくる。
──一体どういう意味?さっきの言葉は、深い意味があるような気がするけど。ってか、告白されたの私?
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