5.6
ってまた!?
最近、人間になれる猫に見慣れてきちゃったなぁ、自分。
……ん?待てよ。
「その様子からして、私が他に人間になれる猫を知っているように思えますが?」
「無論。椿やマリアを知っているだろう?お前のことは、椿からよく聞く」
飛鳥さんは再び人間に戻る。どうやら、自分の意思で自由に変貌できるみたいだ。そんなことを感心して見ていて、先程言った言葉の中の“椿”という単語に今反応した。
「椿から?」
「そうだ。ちなみに、今日来たカロンも猫だぞ。本来、猫にはここの世界で言う“名字”というものがないのだが、この世界に合わせてあたしは“但馬”、カロンは“エルバート”と名乗っている」
「そうだったんですか」
通りであの時、シルフが人間になってもカロンくんは全然驚かなかった訳だ。外見だけだと、人間しか見えないしなー。
前まで、猫が人間になると猫耳としっぽがついたままかと思ってた。意外と猫もちゃんと狸並みに化けるんだねー…。
もう現実逃避していいかな。
「飛鳥さまー!あら、凛乃さまもいらっしゃったのですか」
「ウェル、じゃなくてマリアちゃん!」
真っ白な毛並みのマリアちゃんが、図書室の窓が開いているところから入ってきた。飛鳥さんは、机の上に置いてあった書類を持つと、図書室から立ち去ろうとした。
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