5.4
クラスの友達の美穂子が、私を見つけてそう言った。
留学生?海外からわざわざここまで来たの?あっ、そうか。海外の人は大抵カッコイイから女の子も騒ぎますね、ってアレ?
「カロンくんっ!?」
勢いよく席を立つ。ちょうど歩いてきた金髪の美少年・カロンくんは、私と目が合うとにっこりと微笑んだ。
間違えなく彼だ。それにしてもすごい人気。他のクラスの女子も集まって、カロンくんに話しかけている。
「やぁ凛乃ちゃん。奇遇だね」
女子の人混みをすり抜けて、この前みたいに挨拶しようとしたから、私は思わず手を引っ込めた。
こんな大勢の中でそんなことをされたら、慣れてないこっちが恥ずかしい。カロンくんはなぜか残念そうな顔をした。
「これからよろしくね?凛乃ちゃん」
授業が始まるチャイムが鳴る。カロンくんは、私の席の隣に座った。カロンくんの周りにいた女子からの視線が、痛い。
「いいなぁ凛乃っ。カロンくんの隣で!」
‥‥替わることができるのなら、今すぐにでも替わってあげたい気持ちでいっぱいなんですけれど。カロンくんが嫌いな訳じゃないけど、よりによって何で隣なのーっ!
- 36 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む