5.3
「いえ、こちらこそすみません」
ぺこりと頭を下げる私を、彼女はまじまじと見つめる。
そ、そんなに見られると恥ずかしいのですが。
「その制服、聖籠(せいろう)高校か?」
「はい、そうですけど」
「おぉ、助かった!悪いが、そこまであたしを案内してくれないか?」
彼女はスーツ姿だった。スーツの割には短いスカートを穿いていて、若くて美貌な女性だ。瞳は幻想的なシルバーで、髪はマロン色。長さは腰ぐらいまである。
新米教師なのかな?男子生徒に人気がありそう。
私はいいですよと返事をして、その女性と共に聖籠高校へ行った。
その女性の名は、但馬 飛鳥(たじま あすか)先生。急遽、聖籠高校の保健を担当することになったらしい。
私の名前を名乗った時に妙な反応をしたのが気になったけど、見かけに寄らず優しい人だった。
「森さん。今日、日直だからよろしく」
眼鏡をかけた担任が、私に学級日誌を渡す。その言い方が気に食わないから、イマイチ好きじゃない。
今日は日直だったかあ。もうちょっと遅れても良かったかな。
そういえば、今日はいつもに増してクラス内が騒がしい気がする。気のせい?
「凛乃ー!今日ね、留学生が来たんだよ!!」
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