4.7
「ああこれくらい、すぐに治りますよ」
「ダメ!傷口が広がって、ばい菌が入ってひどくなっちゃうから!ほら、早く猫に戻って!家に帰るよ!」
「はい」
怒られているのに、なぜか嬉しそうに微笑んで椿は返事をした。
家に帰宅し、椿の姿で傷口を消毒していた。消毒している時は痛そうに表情を歪めていたので、さっさと終わらせて包帯を巻いた。
「よし、これで大丈夫」
「ありがとうございます」
申し訳なそうに言うものだから、どうってことないよと笑顔で返した。
その時近付いてくる足音に、私は手当てに集中していて気付くのが遅れたんだ。
「凛乃ー、救急箱に入ってる絆創膏ちょうだい……あら?」
「あ‥‥」
扉を開けたママは、こちらを見て佇んでいた。私は硬直した。
──ついに、ママに椿を見られた!
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