4.6
私は、椿とカロンくんを交互に見つめる。椿はちらっとカロンくんを見た。
「はい、知ってますよ」
そこで、ずっと私と椿のやり取りを眺めていたカロンくんがはぁーと溜め息をついて、椿の肩を組んだ。
「椿、君はいいねぇ。こんなかわいい子と一緒に毎晩寝れるなんて」
「‥‥‥‥」
それを聞いて、私の顔が紅潮する。考えてみればそうだ。見た目、猫には変わりないけど、人間の姿と考えると…。
「もうカロンくん!変なこと言わないでよ!それに私全然かわいくないからっ」
「照れる表情もかわいいね、凛乃ちゃん。それじゃあ僕はお邪魔のようだから、これで失礼するよ。Good night,dear!」
カロンくんは私の手の甲に恭しく口付けをして、帰っていった。そんなカロンくんを見て、椿は呟く。
「相変わらずキザな奴ですね」
腰に手を当てて呆れたように言う。ふと、椿の肩に異常があることに気付いた。
「ちょっと椿、肩から血が出てる!」
近くで見てみると、擦り傷だった。それほど深くは切っていないようだが、菌が入らないように早く治療をしなければ、痕が残ってしまうかもしれない。
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