4.3


「こっちの校舎の屋上は開いてるよ。だからここから渡って…」

「え、渡るの!?危なくないっ?ここ、5階くらいの高さだよ!?万が一落ちたら」

「大丈夫。そんな距離ないし、凛乃ちゃんはじっとしてるだけでいいから」


ぎゅっと手を握られ、透明な緑色の瞳に見つめられた。顔の距離がとても近い。この綺麗な容貌をした人に、しかも間近で見つめられると、ドキドキしてしまう。

そのままカロンくんに連れられて、フェンスを越え、屋上の端に立つ。
下を見ると、‥‥ううっ、下なんて怖くて見れない。確かに、隣の校舎まで距離は近いけど……。

ここまで来たのはいいけれど、どうやって向こうの校舎まで行くのだろう。さっきカロンくんは“じっとしてるだけでいい”って言っていたけど。


「失礼」

「きゃっ」


カロンくんは私の膝裏に手を入れて、軽々と抱き上げた。それは、お姫様抱っこと言われるもので、私はとても恥ずかしくなった。


「あ、あの」

「渡るよ。怖かったら目を瞑ってね」


私が恥ずかしがってるのを知ってか知らずか、笑顔で言う。飛ぶんだと理解して、私は言われた通り目を閉じた。


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