3.6


久々に三人、いや四人で夕食を取った。パパは帰りが遅いので、いつもはママと一緒に夕食を食べていた。だけど、今日はこの時間が楽しかった。

ご飯を済ませて、そそくさと自分の部屋へと退散する。パパとママはいい雰囲気で話してるし、大丈夫そう。二匹が部屋に入ったことを確認して、念のため鍵をかけた。


「さてと。まず何で家に帰らなかったの、マリアちゃん?」

「外の人間世界を楽しみたかったんですの。夢中になって遊んでいましたら、帰り道が分からなくなりまして」

「うんうん。でも猫って普通に家に帰れるんじゃないの?マリアちゃんは、ちょっと前からこの町に住んでいるし、道も分かるんじゃ?」

「ええ。“猫”でしたら帰れましたが、“人”だと土地感覚が分からなくなってしまうのです。ですから人混みの中、猫に戻るわけにもいかず…」


マリアちゃん(ウェルディと呼んでもいいのだが、本人はマリアと呼んでほしいらしいので)が、瞳をうるうるさせながら答えた。どこか飼い主に似ている気がする。

抱き締めたい気持ちだけど、それは私の役目じゃないので、マリアちゃんの頭を優しく撫でてあげた。


「そうだったの。‥‥じゃあ早く家に帰ってあげて。やっとここまで帰って来れたのだから。飼い主がとても心配して待ってるよ」


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