3.5
白猫の姿が、人間の姿へと変貌した。目の前には、真っ白なかわいいワンピースを着たブロンドのあの女の子が立っていた。
「マリアですわ。わたくしのご主人さま方は、“ウェルディ”と呼んでいらっしゃいますけれど」
間近で見ると、睫毛がとても長くて、まんまるいゴールドの瞳をしていた。
って、惚れ惚れしてどうする。人間の姿に変わる猫が、シルフの他にいたなんて。
カーと烏の鳴き声がして、素早く辺りを見渡す。こんな野外で、猫たち(しかも話せて人間になれる)と話しているのは落ち着かない。
「続きは私の家で話そうか」
もう一度マリアちゃんには猫に戻ってもらって、私は二匹の猫を抱えて自分の家に帰った。
「ただいまー」
「お帰りー。ナイスタイミングに帰ってきたわね、夕食が出来たところよ。あら?シルフちゃん見付かったの?良かったわねぇ」
帰宅するなり、ママは私からシルフを横取りした。ママの目がキラキラしている。ママもシルフがいなくて寂しかったんだ。
「その子はウェルディちゃん?その子も家出したらしいから、ホントに見付かって良かったわねー!」
「う、うん」
意外と見ていらっしゃるではありませんか、ママさま。これは要注意ですね。秘密がバレたら、倒れちゃうかもしれない。
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