3.1
あれから何も聞けないまま一日が過ぎた。
あの日、夜になってもシルフは帰って来なかった。
たった一日帰って来なかっただけで、私の頭の中はシルフでいっぱいだった。
あの女の子を聞きたかったのに。あの人は誰なんだろう。日本人っぽくなかったな……。
「凛乃ぉぉぉお!」
ばっと目の前に梨絵の顔が間近で現れる。私はびっくりして現実に返った。今日の梨絵はいつもと違う。直感でそんな感じがした。
「どうした…」
「ウェルディがいなくなったの!外から帰って来なかったの!家出しちゃったぁああぁ」
私が言い終える前に梨絵が遮る。私にしがみついて、目に涙を浮かべながら訴えてくる。そんな彼女を宥めようと、ポンポンと頭に手を乗せた。
「猫はたまに帰ってこない時があるよ。家出した訳じゃないから、心配しないで。気紛れな動物だし、気長に待ってようよ」
「うん‥‥」
ぐすっと鼻をこすって、涙を拭いて私から離れた。
ウェルディも帰ってこなかった?そんな、まさか……ね。
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