2.10
「ごめん凛乃ー!ちょっと用事ができちゃったから、あたし帰るねー」
「バイト?」
「そう!じゃあまた明日!!お邪魔しましたー」
部屋に戻ってくるなり、梨絵はすぐさまその場を去っていった。梨絵の後をウェルディがついていく。
何とか一人、シルフの秘密がバレずに済んだ。あとは保仁だ。コイツはバカだし、簡単にバレなさそう。そんなことを思っていると、突然保仁は立ち上がった。
「俺も、帰るわ。そういえば、用事あったの思い出した!」
そんなことを呟きながら、あっという間に二人は部屋からいなくなってしまった。
私はやれやれと、軽く溜め息をついた。
「凛乃」
「何?……って!」
振り向いて見れば、シルフ(猫)ではなく椿(人)がいた。今朝に着せたパパの服を着ている。こうやって突如現れるとびっくりする。それに、ママや梨絵や保仁に見られたら何て言われるだろうか…。
椿は私が買ったファッション雑誌を見ていた。日本語は猫でも読めるのかな?それよりその雑誌、女性向けなのですが。
「服を買ってみたいです」
「女性の?」
「違います!!ちゃんとした男性のです!メンズ服、と言う」
「あはは、冗談だよ。だったら、一緒に服を買いに行こ?その前に服着替えるね」
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