2.5
「よし、ギリギリセーフ!」
額についた汗を拭いながら私は、自分の席に着こうとしたら、近くにいた女の子から挨拶をされた。
「凛乃おはよー。いっつもギリだよねぇ、家近いのに」
この子は私の友達の梨絵。これと言ってあまり特徴的なものはないんだけど、ちょっと人より髪の色素が薄いかな。
私がカバンから筆記用具など取り出しながら梨絵と話していると、隣の席の男の子が話しかけてきた。
「その遅刻癖なんとかしろよなー。そういうとこ、昔っから変わんないなー」
「む、そういう保仁も何にも変わんないじゃん!そう簡単に直らないものなの!」
この男の子は、私の幼馴染でもある鳴海 保仁(なるみ やすひと)。梨絵が言うにはそこそこカッコイイらしいけど、私はそう思わない。椿の方が断然カッコイイと思うもん!
「ねぇ聞いてよ凛乃。今日ねウェルディがあたしを起こしてくれたんだよー!」
ウェルディとは梨絵が飼っている猫の名前。家族全員が猫派らしく猫を飼ったのだそう。色は真っ白だったかな。毛がもわもわして抱き締めると気持ちよくて、瞳はゴールドの猫ちゃん。
いつもは梨絵の親ばか話を聞くだけだったけど、これからは私も一緒に猫の話できるじゃん!そういや、私も朝起こしてもらったなー…。
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