Yellow Peace


朝、目覚めたら雪が降っていた。
外は雪景色。白銀の世界だった。通りで今朝は冷え込むなぁと思った。

どんよりとした灰色の雲が空に広がっている。こんな日は家にいるのが限る。子どもたちや雪が好きな人たちなら、喜んで外に出るだろうが、一歩も出る気がないのは私だけだろうか。

再び布団の中に潜り込もうとしたら、携帯電話のバイヴ音が聞こえた。手に取って見ると、メールではなく電話だったので、すぐに電話に出た。


「美弥!寒い、開けて開けて!」

「え?」

「玄関玄関!」


仕方なく布団から出て、パジャマ姿のまま玄関の扉を開ける。
玄関前には、寒そうに白い息を吐き、口元をマフラーで隠した海(かい)が立っていた。

扉を開けた直後、すぐさま家に入ってきた。
脱ぎっぱなしになった靴を私が綺麗に揃えておく。それが、当たり前のようになっていた。


「あったかー」

「もう。何でこんな日にわざわざ来るのよ」


海は家に上がり込んで、勝手に暖房をつける。マフラーは床に散乱している。つくづく散らかすのが得意な方だと思う。

んー?と呟きながら、抱えていたビニール袋の中をがさがさとあさる。中から出てきたのは、みかんやおもち、甘酒など食べ物や飲み物ばかりだった。


「一緒に年越そーぜ!」

「なんで」

「そんなこと言わずにさー」


バナナを持ちながら擦り寄ってくる海に、思わず笑みが零れる。この無邪気さはいつも勝てない。そして、私のビタミンは彼からもらっているのかもしれない。

そんなことを思いながら、海が買ってきたみかんを彼の頭に乗せて微笑んだ。




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