あんたが大将


新年早々、ウチは慶馬の所に来ていた。コイツは二人きりが良かったらしいのだが、友人さんたちとその彼女たちもいる。

まあウチは卓斗の彼女、紫音ちゃんは大好きだし、甲野の彼女の彩ちゃんも好きだからその方が嬉しい。

なんて慶馬に言ったら、また怒られるだろうな……。
にしても、初詣で行く服装が着物っていうのは良いねー!ウチには似合わないから、着ないけどね。


「もう、笑っててば」


紫音ちゃんが卓斗の腕を掴んで宥めるように言う。見た感じ、二人で初詣に行こうと思っていたのに邪魔されたという顔だ。
慶馬と同じ顔をしてやがる。


「ああ、おみくじが大凶になりますように」

「え、それ俺に向かって言ってる?」

「勿論」

「そんなこと言わないでくれよ‥‥。普通、彼氏にそんなこと言う?」


少し困った表情で問いかけるものだから、即座にうんと頷いた。大凶引いて、ちょっとは日頃の行いを改めてもらいたいものだ。

すると、彩ちゃんがかわいらしくウチの服の裾を引っ張った。何だろうと思って振り返ると、彩ちゃんは指を差している。

その先には、神社には不釣り合いな胡散臭いおみくじ屋があった。いや、おみくじではなくスピードくじと書いてある。
おい、新年を祭りだと思っているバカがここにいるぞ。


「ね、もし一等賞が当たったらどうする?」


まさか本気であの胡散臭いくじをやるつもりなのか?と思っていた内に、甲野がやってるし!彩ちゃんめっちゃ楽しそうだし!

そして、カランカランと鐘が軽快に鳴った。どうやら見事一等賞を当てたらしい。何とまあおめでたいこと(胡散臭いけど)


「オメデトウゴサイマース!一等賞は鼻セレブリティ一年分デース!」


……やっぱり胡散臭かった。




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From:箕郷浬