夕陽とキャンパスとココアと


太陽が地平線に沈む前の、黄昏時。
秋冬の場合だと気温がかなり下がる。でも、その瞬間がとても綺麗で、寒さに身を震わせながらも景色に見入ってた。

かじかんでいそうな指先が細かく動いている。その綺麗な指先から生み出されているのは、鮮やかな色彩で描かれている一つの、絵。

私はその絵が好き。
そして、その絵を描いている彼が誰よりも好き。


「よし、こんな感じかな」

「今日の絵も、すごく綺麗だね!」

「ありがとう」


そう言って彼は微笑む。私は、先程自販機で買ってきたココアを彼にあげた。それが、日課になりつつある。再び彼はお礼を言って、プルタブに指をかけて缶を開けた。


「留奈も一緒に絵とか描かないの?」

「私は絵心がないから、描いても絵になんないよ。それに私は、亨くんが絵を描いている姿を見るのが好きなの!」

「……何だか、照れるな」


それから、私たちは二回目のキスをした。
初めてのキスの味はチョコの味がして、今度はココアの味がほんのりした。




夕陽キャンパス
ココア
(カレとワタシ)





For:星屑にララバイ様
Thema:セカンドキス
From:箕郷浬