チルドフットフレンド



“やってやろーじゃん!”
そう言って啖呵を切ったものの、どうも上手くいかない。こんなんだったら、恋愛禁止の方が良かったかもしれない。
好きな人もいないのに、彼氏なんて……
できないでしょ。


「司、任せたっ!」

「はいよっ」


軽く助走して私はスパイクを打った。ボールは鋭い角度をつけて、コート内に落ちた。相手はそのスピードに反応できずに、一歩もその場に動けないでいた。
うん、気持ちよい決まり方!

ちらっと周りを見れば、多くの観戦者がいた。クラスメート全員で、私たちのチームを応援している。私がサーブに回れば、司コールが沸き起こる。

ボールを上に浮かせて狙い打つ。コートの端ギリギリいっぱい。今日の私は絶好調だ!

思わず音符が出てきそうな鼻歌を歌うそんな中、変に目立っている物を持っている人が視界に入った。

目を止めて見てみれば、真っ白い扇子の真ん中に赤い丸。そして、ニッポン!という文字。そんなウケを狙った物を使うものは、この学校ではアイツしかいないと思う。

五十嵐郁(いがらしかおる)。
一見、女の子みたいな名前の幼馴染。不覚にも、ばちっと目が合い、郁はニヤッと笑った。明らかに私をバカにしたような笑みをしたので、私は舌を出してやった。

この勝負、郁には絶対負けない!!



チルドフッドレンド
(友情と恋愛の狭間)





For:1、2、3。
From:箕郷浬