mine


彼の部屋で過ごす、何度めかの夜。
私の中で種を蒔いて、切なそうな表情をして果てる姿が好き。

彼の、髪も眉も瞳も鼻も口も耳も首も肩も体も手も指も足も、全て大好き。
全部全部、愛してるわ。

彼は、数え切れないほどの甘い言葉を囁いて、私を愛してくれる。私は、とても幸せ。

だから、私も彼をたくさん愛するの。

ずっとずっと、私だけを見て?
他に何もいらない。
私とアナタだけがいればいいの。

ベランダに止まっていた雀を捕まえて、翼を折って羽根をむしり取ったわ。
私たちのベランダだもの。

ペットなんていらないでしょう?この間、窓の外へ投げ捨てたわ。
私だけがいればいいのよ。

昨日来た知らない女は、殺したわ。馴れ馴れしくアナタのことを呼ぶんだもの。
アナタを愛すのは私だけでいいの。

もっともっと、アナタの近くにいたいの。
もっともっと、アナタに触れたいの。
だって私はアナタの、コイビト。

アナタの血をちょうだい。
アナタの心臓をちょうだい。
これで私たちは、完全に一つなれるわ。


この、ナイフで。







20101002