眼鏡くんの素顔



思っていたより、イジワルで。
見た目とはまるで正反対な性格に、私は騙されたんだと思う。

ああもう。
こんなはずじゃなかったのに。


「里夜?聞いているのか?」

「あ、うん!ちゃんと聞いてるよ。次の予定でしょ?」


私の目の前にいる眼鏡をかけたこの人は、一応私の彼氏である三郷健吾。ホントは視力がいいくせに、お洒落として眼鏡をかけてる。

何でも似合ってしまう彼が、時々悔しい。
私ももっとかわいくて、ふわふわしたワンピースとか似合う人だったら、良かったのに。

健吾はずっと私の顔を見つめていて、心を見透かそうとしている。うう、この目に弱いんだよね、私。

不自然に視線を逸らせば、顎を掴んで強制的に向き合わされる。イジワルな笑顔。絶対私をからかって遊んでる。


「あれー誰かいないのー?」


その時、誰かが図書室に入ってきた。女の子は本を手に持って、キョロキョロと図書室を見渡している。

その声を聞いて健吾は、はぁと軽く息を吐いて立ち上がり、カウンターの方へ向かった。今日は健吾が当番なので、仕事はきちんと行わなければならない。


「他の本はまだ返していないのですか?」

「あっ、はいそうです。まだ読んでないんで」


端から見れば、優等生しか見えない。
私の前だけは、イジワルな王子。
そのギャップに、私はまた恋をする。




For:君がいなきゃ息もできない
From:箕郷浬
Since:2010.7.11