それは、見えすいた嘘


「ねぇ、私の目を見て言って」


荒々しくテーブルを叩く。テーブルの上にある食器が、カチャンと音を立てる。向かい側に座る男は、びくりと体を震わせた。

修羅場のような雰囲気を漂わせている。テーブルをはさんで、男女が座っている。彼は無言のままだ。


「どうして?私が好きなの、知ってたでしょう?」


そこで、ヴヴヴと携帯のバイブ音が響いた。どうやら、彼の携帯のようだ。電話がかかってきたみたいなので、電話に出ようとしたが、彼女がそれを制した。


「今、大事な話をしているの」


彼は渋々携帯の電源を切り、テーブルの上に置いた。そして、彼はようやく口を開いた。


「‥‥怒ってる?」

「そりゃそうよ。でも、さっきよりかは怒ってないわ」

「良かった」


その言葉を聞いて安心したのか、穏やかな笑顔を見せて緊張を解いた。それから、彼女を不思議そうに見つめる。


「けど、何で分かったの?僕がケーキ食べたって」






For:Chatelet
From:箕郷浬
20100430