ありがとうと伝えよう


私は泣きたい衝動にかられた。

悪い振る舞いしかやってこなかったこの私の、たった一人の味方だったから。

貴方はとても優しい人だった。

今更になってその優しさが身に染みて、私はしばらく何も出来ないでいた。始めは、何でこんな哀しいのか、自分でも分からないでいた。

振り返っても、もう、戻れない。
私の居場所はない。
誰も私を必要としないから。
そのことを悲しいとは思わない。これは償いだから。

そう強がって生きてきたけれど、やっぱり悲しみから逃れなくて、貴方の言葉を聞いた瞬間、泣きそうになった。

私は忘れない。
貴方に出会えたことを。
例え貴方が、優しい嘘をついていたとしても。


「バイバイ」


また、どこかで、
貴方に会えたら──