冷えた手を包んで


かじかむ指先を温めようと口元に手を持っていこうとしたら、隣にいた貴方が私の手を握り締めてくれた。

逞しいその大きな手はとても温かくてさりげない貴方の優しさに心も温かくなった。


「ありがと」


って小さく呟いたら貴方はちょっとだけこっちを見て、恥ずかしそうに顔を背けたのを私はちゃんと見てたよ。

だからかわいいなって、笑ったの。
そしたら気分を損ねて拗ねちゃったから寄り添ってあげたんだ。


「……ずるいな」


貴方はそう呟いて、私の肩を抱いた。その言葉の意味がよく分からなくて顔を上げると、貴方が額に口付けた。

今度は私が恥ずかしくなって顔を背けようとすれば貴方は逃してくれなくて、私を包み込むように抱きしめた。

貴方の体温は誰よりも私を温めてくれるんだ。



冷えた手を包んで
(心まで温めてくれる)




相互記念 For:紗夜香様
From:箕郷浬