レニーは歌を歌わない
夢を見た。
普段はそう見ない。多分見てはいるのだろうが忘れている。今日は珍しく覚えていた。

青い空の下に自分は立っていた。周りをぐるりと見回すどうやらここは公園のようだ。整備された花壇にベンチ。少し遠くには遊具が見える。
さて、何をすればいいのか。夢の中とは分からず考え込んだ。適当なベンチに座り噴水を見ながら考える。空気はそこまで綺麗な訳ではないが汚な過ぎる訳でもない。みんな普通に歩いている。
特に何も思い浮かばなかった。ふらふらと歩いているとイヌが寄ってきた。飼い主に了承を得て触れる。ふわふわとした毛並みに可愛い目。ペロリと嘗められたが濡れた感じがしなかった。それから少し飼い主と話して別れた。
その後は近くにあった水族館に行ったり、本屋に行ったり、ショッピングセンターに行ったりした。
そうして再び元の公園に戻って来て何かがおかしいな、と感じた。空を見るとまだ青いまま。ああ、そうか、とひとり納得し自販機へと向かい飲み物を買う。買った途端、景色が変わった。
青空がいきなり、真っ暗になった。
なぜだか分からないがそんなモノだと思いプルタブを開けた。

それからまたふらふらと歩いた。気付けばホテルに着いていた。シンプルな内装で自分好みだ。受付の人になにか言って、部屋へと案内された。何と言ったかはよく分からない。
案内された部屋もシンプルな内装だった。
ルームサービスで食事を取ってシャワーを浴びて少し夜景を見て、部屋を真っ暗にして寝た。

気付けばホテルではなかった。その時初めて夢だったことに気が付いた。カーテンを開け真っ白な部屋から灰色の景色をみる。ああ、そうだった、と呟いた。



11/04/21


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