善意と行動の概念の主張
 幸せになりたい、と隣にいたヤマイヌくんが呟いた。テーブルに右肘ついてを左目から涙を流して泣くヤマイヌくんは綺麗にみえた。
「どうして?」
「ボクが今、不幸だから。」
ヤマイヌくんが何を言っているのか自分には全く分からなかった。ヤマイヌくんは頭も見た目も性格も良くて人望もある。綺麗な言葉使いだし誰からも好かれる。非の打ち所のないヤマイヌくんがなぜ不幸なのだろうか。ヤマイヌくんのように成りたい人なんて自分を含めて沢山いると言うのに。
「ヤマイヌくんは完璧。」
「だからじゃないか。」
また、ヤマイヌくんは意味の分からないことを言う。完璧なのが不幸なことなのだろうか。誰しも完璧になりたいと思っているはずなのに。それを不幸と言うとは変わっている。頭の良い人の考えることはわからない。
「ボクは、いつもみんなに完璧だとか言われているけど全然そんなことはないんだ。めったに怒らないとかも言われたことあるけどそれはキレないだけでボクの腹の中ではめらめらと炎が燃え上がって×××とか×××とか嫌いな奴を殺したいと思っているぐらいなんだ。でも、そんなことを言ったらみんなボクを変な目でみるだろうしおかしいと言うだろう。ボクみたいじゃない人があいつ嫌いだ、とか言ったって変だと思えない。良い子でなければいけないボクの気持ちなんてみんな無視してボクにプレッシャーをかけるんだ。ボクのことを理解してくれるのは君だけだよ。」
「…うん」
ヤマイヌくんの言っていることは自分には全く分からなかった。


120408
t/puxy


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bkm
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