そのひとにはそのヒトなりの言い分がある
 「仕事と私のどっちが大事なの!」と何ともまあ、ベターな台詞を彼女は言った。話していたら突然言い出すものだから驚いて何も言えなかった。そのせいなのか「すぐに答えられないってどういうこと!?」と怒ってしまった。困ったものだ。
 仕事と彼女。どちらが大切と言われても中々判断しにくいものだ。彼女は好きだ。だから、幸せにしてあげたいと思うしプレゼントだってデートにだって行きたい。しかし、彼女とそういうことをするにはお金がかかる訳だから働かなくてはいけない。働くことは自分の生活ためでもある訳だからどちらかを選べなんて言われても答えようがない。それなのに目の前の彼女はどちらかを選べと言う。う―ん、困ったなぁ。
しばらく無言のまま考えていたら目の前の彼女は更に怒りはじめてテーブルを強く叩いた。
「どうせ私のことなんて好きじゃなかったんでしょ!」
う―ん、僕はまだ何も言っていないんだけどなぁ。
僕の言うことも聞かず彼女は去って行ってしまった。そんなに僕のことが嫌いなら走って行けばいいのにいつも通りの速さで歩いていた。
 彼女に言われてから気が付いたけど今の僕の一番は仕事だな。



120122
t/ミシェル


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bkm
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