もう知っていたのでしょう


モノクロのようなセピアのような世界に自分は存在していた。線と点だけで世界は作られているようだ。
駅のホームのベンチに腰をかけ何をする訳でもなくただいた。夕日のような光が当たる。ただ、無機質。
風も無く音も無く人もいない。夕日があるなら人がいるだろう。深夜のホームならまだ理解出来るがまだ日のあるうちだ。
本当に夕日なのかは分からないが、確かめる必要はないと感じていた。
ただ、座って向かい側のホームを見ていた。電車は一本も通りはしない。
コツリ、初めて音がしたかと思えば隣に人が立っていた。
「まだ、きませんか」
「ええ、きません」
「いつならきますかね」
「さぁ、まだきませんよ」
セピアでモノクロで点と線の世界には電車は走ってはいない。
まだ、ここにいるようだ。



11/05/16


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