ドップラー効果は継続中

わたしには好きな人がいる。いつも遠くから見ているだけなのだがそれだけでいいと今は思ってる。だけどそれを友達に言ったらそれは駄目だ、と言われてしまった。
なんとかしてあげるから、と言われて今日になってしまった。なんとかするとはなんだろう。ただ見ているだけで良いのに。
それを言ったのだが「大丈夫だから」と言われて授業のチャイムがなった。


授業が終わると友達がわたしの好きな人と話していた。友達と目が合ってしまい手招きされた。あの人が見ている。選択肢は「行く」しか無くなってしまったのだ。
どうにかしてあげるとはこのことだったのか。
あまり話せなかったけれど近くで見れただけでよかった。でも本当に遠くから見ているだけで良いのに。

それから次の日も次の日もそうやって話した。
やっぱりあまり話せなかったがいれるだけで満足だ。少しだけは話せるようになったが。
それから1ヶ月ほどたった。いまだに進展はない。
「あんたさぁ早く告白しなよ」
「うん」
「はぁ…」
わたしは告白などしなかった。別に遠くから見れるだけで満足だし、その上会話出来るのだから。
別に不満などなかった。そこまで早く早くと言われる意味が分からない。
また数日1ヶ月たった。わたしの協力をしてくれた友達がどうやら告白されたそうだ。相手はわたしの好きな人。どうやらそれが4日前だったらしい。
彼女はそんな事一言も言ってはくれなかった。
そう思っていると彼女の方から話し掛けてきた。少し不安そうな表情で。
「…告白されたんだ…」
「うん」
「…あんたの好きな人にだよ?」
「うん、知ってる」
「怒ってる?」
「怒っている訳ないじゃん」
何故、そんな事を言う必要があるのだろう?友達の好きな人に告白されて負い目を感じている?そんなの自分に溺れているだけだろう。友達と恋人に挟まれて悩んでいる自分に陶酔しているだけだ。
気にしてないよ。自分の好きなようにしていいんだよ。といい彼女との会話は終わった。

2日たった。帰り道わたしの好きな人と友達が一緒に歩いているのを見た。
うん、やっぱり遠くからがいい。なんだか近くにいた時よりももっと素敵に見える。



11/04/27


prev next

bkm
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -