掃き溜め | ナノ
むらむらする及川

バレーボールとは違う感触、重さ、大きさのそれは、俺たちには到底扱い辛い。
床を叩いて大きな音を立て、何度もボールが弾むのは、俺たちにはないルールだ。

だん、だん、だん
彼の手によって放たれたボールから生み出される振動が、俺の身体を、脳を揺すってくる。
ああ、もう、へんな気分。

「…苗字ちゃーん。」
「ん?」
「たのしい?それ。」
「なにが。」
「いや、俺の、柔軟とか…見てて楽しい?」

だん、だん、だん

「んー、よく伸びるなとは思う。」
「、苗字ちゃんもけっこう伸びるくない?」
「そうかあ?」

だん、だだん、だん

「っう。」
「どーかした?」
「え、あっ、ううん。」
「そ?」

じわじわと暑くなる頬を隠すように前屈をする。
その間も俺の眼の前はなんども揺れた。

こうふん、する。
苗字が、苗字の手がうみだす振動に揺すられて、それだけで身体がじくじくと熱を帯びる。

だん、だん、だん

「苗字ちゃん、ストップ」
「ん?」
「それさ、すごい、揺れるよね。」

床が。
見上げた彼はにたりと笑った。

「もっと揺らしてやろーか。」

柔軟運動で寝転がってる時、それをされると視界がもっと揺れることは彼もしってるはずだ。
気持ち悪くなる。けど、なんか別のものがお腹の方でぐるぐると渦を巻いてる感じがする。

そのいじわるい顔でこっち見ながらボールを弾ませるの、いい加減やめてくれないかなあ。

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