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俺の家で、俺の部屋で、しかも俺のベットの上で、ごろごろと仰向けにくつろぐ木葉を見て、こいつほんと危機感ねえな、そろそろ冗談抜きでぶち犯そうと物騒なこと思いつつ、俺は椅子から立ち上がってベットに腰掛けた。そして一言。

「好きだよ、木葉。」

さっきまでいたずらっぽく笑って、俺のラインでクラスメイト全員にアイラブユーのスタンプ送ってたくせに、
俺が真顔でそう言ってやれば、ぽかんとアホみたいな顔して、俺のスマホを落としやがった。

「は、え…?」
「だからそろそろ察してくんね、男二人でカラオケ行くのもネズミーランド行くのも、お前のことが好きだからなんだって。」

ネズミーランド行った時、あー隣にいるのが可愛い恋人だったらなとか言いやがるくらいに、お前は可愛くないしデリカシーないけど、
イケメンな親友ならいるしいいかなんて言ってくるから嫌いになんてなれねえし、また好きになってしまうのである。

アイラブユーのスタンプ送りたいのはお前くらいだってなんて薄ら寒いことを内心つぶやきながら木葉の逃げ道を塞ぐべく、木葉の足の間に膝を入れて、覆い被さる。
男子高校生二人分の体重に、スプリングが軋んだ。

え、だとか、あ、だとか、しどろもどろになりながら視線を下に下げるこいつは耳まで真っ赤。
それに触りたくなって、右の耳たぶを指で撫でると、木葉の体がこわばった。
じわじわとキツネみたいにつり上がった眼が水の膜を張る。

「キモイとか思わねえの。」
「お、まえ…!」

木葉は先ほどのしおらしい姿とは打って変わり、きっと眼を釣り上げて口をくわっと開けた。

「今、自分どんな顔してそんな事言ってんのか分かってんのか?!」

俺は瞠目した。え、どうしたのこいつ。何きれてんの。
急に威勢のよくなった木葉は、きゃんきゃんと吠えるように言葉を並べていく。

「わかってたよ!そんな気してたし!でもいっつも中途半端で、本当は勘違いなんじゃねーかって思うくらいには不安だったよ!俺、女の子好きだし!可愛いし!小さいし!それでも、それ以上に!お前のことすっげえ好きだよ!?」

すきに、なっちまったんだよお!

まとまっていないままの文章を泣きながら言い終えた木葉は、両手で顔を覆ってぐずぐずと鼻を鳴らしている。

なんでおまえなんか、いうつもりなかったのに、くそまじでやんなる、

色々悪態突くこいつが、ものすごく可愛いものにしか見えなくなった。

「木葉。」
「なんだよっ!」
「俺これでもかなりアプローチかけてたつもりなんだけど。」
「知るかアホめ!」

なんだ照れ隠しか、と納得してしまえばそれで終わりで、表情がにやにやと緩むのがわかる。
未だに真っ赤な耳たぶを撫でると、震えた声でヤメロと言ってきたので大人しくやめてやる。

かわりにものすごいポジティブ思考になった俺は、にやにやしたまま、気になることを尋ねてみた。

「じゃあ俺の部屋来るたびにベット占領すんのはかなり俺誘われてたってこと?」
「ば、ちげーよ!バカ!」

ばーかばーかと小学生のように罵ってくるので、今の浮ついた脳みそだから言えることをさらっと教えてやる。

「因みに俺が木葉のベット占領すんのは木葉の匂いがすげーするからです。」
「変態か!」

けれどその後小さく、おれもそうですと付け加えられたから、顔の前のガードを取り払って、びっくりしてる泣きっ面に思いっきりちゅーしてやった。

木葉まじでちょうかわいい。


title:あなたの心音を ほしがっている

20150208


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