筋肉ばかりで、肉の薄い太腿はいささか柔軟性に欠ける。
「そんな、赤葦くんの色気のない固い足をむっちりやらしい太腿へ変えるアイテムが3つほどあるんだが。」
「余計なお世話だ。黙れ。」
「俺的にはゴム縄がイチオシなんだが、どれがいい?」
「聞けよ人の話。」
話を無理矢理進めようとすると痛いくらいの力で腕を掴まれた。
盗み見た赤葦の顔は驚くほどに訝しげである。
「何?」
「いや俺の台詞なんだけど。」
赤葦は俺の手元を覗き込む。そして直ぐにその右手が振り上げられた。あ、これやばいやつ、
「いってぇ!」
「何考えてんだ。」
案の定脳天に叩き込まれた拳に悶えていれば、俺の手元にあった赤葦の太腿をエロくするアイテム達が攫われた。
パンスト、ニーハイ、そしてゴム縄である。
赤葦のつめたぁい瞳が俺を貫く。
「そ、それつけたら、盛り上がるかなって。」
「何が。」
「え、せっく」
「盛り上がるのはお前だけだよ。」
「まっ…タイム!タイム赤葦!いてっ、ゴム縄はさ!っ叩かれると、いたっいから!」
理不尽ではない赤葦の暴力が俺を襲う。
ぺっちん、と聞く限りでは痛くなさそうな音だが、ぶっちゃけめっちゃ痛い。ヒリヒリする。
赤葦はそのアイテム達を見てため息を吐いた。
俺も吐きたい。赤葦のエロい太腿に想いを馳せる。
「…ごめんて。じゃ、縛るのはやめる。」
「縛るの、は?」
一層鋭くなるその眼光に、あれ、俺って愛されてるっけと疑問を持った。むなしい。
「…せめてニーハイくらい履いて!」
お願いします!と土下座を決めて低姿勢から赤葦を見上げると、
「…ど変態が。」
冷ややかに細められた視線をいただきました。返答がやだ、の一言じゃなかっただけまだマシだと思いたい。
きめ細やかな肌触りが心地よい。
肌の色を少しばかり見せつつ、黒くそこを覆う布を撫で付けた。
「…変な触り方するな。」
「興奮するから?っいた!」
「調子のんな。」
ふて腐れた表情が愛おしい。
膝の形を辿り、肌の形に沿って黒の終わりの淵まで登り切る。
「お、い。」
「ん?」
「なにしてんだ。」
ニーハイに指をかけると、咎めるような声音が上からかけられた。
なにって、そりゃ赤葦くん。
「脱がせようと。」
「…なんで。」
「男のロマン。」
「は…やっすいな。」
目を細めて笑う赤葦がエロい。
引っ掛けた指で、ニーハイを下ろしていく。
「くすぐったい。」
生温かい肌に俺の指が触れ合う感覚でそう感じたのだろう。
ソファの上で身を少し捩って笑む赤葦に、ちょっと、いやかなり、むらっときた。
ソファに乗り上がる。
赤葦はなにも言わずに俺を見ている。
「いい?」
「いいよ。」
「乗り気だなー。」
「うるさい。」
首の後ろに腕が回されて、ニーハイを脱ぎ損ねた足が絡みついてくる。
「これ、履いたままな。」
「…仕方ないな。」
実を言うと、エロい太腿じゃなくってエロい赤葦が見れたらそれでよかったんだよなあ。
20150517