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「え、なんだよ気持ち悪りぃ。」

ぞくぞくぅっ、なんてチープな表現だけどまさにそんな感じ。
どっかのエロ同人みたいに乱暴はされてないけど、メンタル抉られて、俺はすごい興奮してる。

「いーじゃん、減るもんじゃないしぃ。」
「マジで及川きもい。」

後ろから抱きついて、ダイタンにも俺は苗字の胸を揉みしだく。ブレザーに爪が引っかかるだけだった。かたい胸板。あーやばい。

冷めた瞳が見下ろしてくる。軽蔑、呆れ、嫌悪。
俺の被害妄想が激しいだけなのかもしれないけど、むずむずと口角が上がる。

そんな眼でみないでよ、興奮しちゃうでしょ?
なんてね。死んでもいえないケド。

「離れろ。」
「もー、苗字ってばつれない!」

ぎゅう、と腕に力を込めれば、体制を支えるのを諦めたのかがっしりとした巨体が俺の顔面に追突してきた。いたい。

「うぜぇ。」
「そ、んなこと言っちゃってー。」

俺のこと、好きで好きでたまんないくせに。

なんてニヤついて期待半分冗談半分で言ってみれば、つめたぁい瞳が見下ろしてきて、

「誰が。」

鼻で笑われて、デコピン食らった。
っあーもう!なんなの!ツボすぎ!

心臓がうるさくって、顔が熱いのを隠すように下を向く。
震えそうな声を一度唇を舐めてから抑えて、ほっと息をついた。

「おれは、苗字のこと、すきなんだけどな。」
「ふーん。」
「ね、だからちゅーして。」
「…お前いっそ清々しいな。でもキモい。」

ため息が溢れる口から覗く、人より尖った八重歯にぞくぞくする。
噛まれたい。おもいっきり。
がぶって、血が出るまで。
そんで俺が泣くまで、いや泣いても、やめないでほしい。

アララ、俺って変態?

「ま、知ってたけど。」

あれ。と思った。

だってなんか、声が優しい。
きゅうっと細められた眼がいつもと違った。
気のせいなんかじゃない、絶対。

「苗字が性的にすきです。」
「うわあひくわ。」
「ちゅーして。」
「そこ受け身なのな。」

わしゃわしゃーって頭を雑に撫でられてちょっと嬉しかった。犬にするようなやつに似てた。

わかってて俺にこんなことしてくるんなら、苗字は相当罪な男だ。

「…苗字のどーてー、意気地なし。男も女も一緒だよ。」
「テメーブチ犯すぞ。あと全く違うから。俺のテンションの上がり方がまず違うから。」

してくれるんならやってみせてよ。
ずっと待ってるんだけど。



20150421
20150427


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