※事後描写
赤葦の背中が好きだ。
背中だけじゃないけど、特に好きなのは、そこ。
「、やめろ。」
「なにが?」
「さわ、るの。」
背骨を辿る俺の指から逃げようと、擽ったそうに身を捩る様をみると、また変なものが頭をもたげてきそうである。やめよやめよ。
うつ伏せるのをやめずに寝転がる赤葦と、その横で胡座をかいてその背中を見つめる俺。
流石にこれ以上赤葦に無理をさせるのは忍びないので、自分の中の欲を抑え込むように、生温かいシーツを被せてやる。
けれどその隙間から鬱血した跡がピンポイントで見えて。あ、なんかエロいなって。
正直やらかしたなと思った。そろりと眼を逸らす。
ふと、擦り寄ってきた癖毛の頭が僅かに湿っぽいことに気づく。
わしゃわしゃとそれを撫でてやりながら、寝室を出るための言い訳を考えついた。
「風呂入るかー。」
俺も身体べたべただけど、こいつを先に入れよう、うん。
それから、またいちゃいちゃしよう。
そう思っていたというのに。
「…いい。」
あとで、そう呟くように続けたこいつは何を考えているのやら。
「、そーか。」
かわいいけど耐えるしかない。
ああ、もう、本当に。
癖毛を堪能していた手のひらを離そうと浮かせてみれば、ぐいっと押さえ込まれ、また黒髪に埋まる。
「はなすな。」
「…触るなっていうのに。」
「背中はな。」
「ワガママか。」
小さな溜め息が聞こえてくる。
俺がつきたいけどね。それ。
赤葦がぐっと身体を起こす。
シーツがずるりと落ちていく。
右手がさらわれた。ぬるい頬に充てがわれる
「散々付き合ってやったんだから、付き合え。」
「…ピロートークってやつですか。」
「別に、そこまで求めてない。」
つかれたねるぞ、と早口に俺の手をさらったまま倒れ込む赤葦にすげぇときめいた。
そのあと手ェ繋いで一緒に寝た。
これがしあわせってやつか。
20150315