※大学生
赤葦の家に遊びに来た。
講義が終わってからちょうど出くわして、赤葦ももう家に帰るところだというので、半ば無理矢理ひっついて行く形にはなったが、
赤葦は仕方ないなあって眼で許してくれる。
久々のお家デートだ。下心はたぶん隠しきれていないほどにあるが、全ては赤葦の行動次第。結末は彼に委ねられている。
つまり、俺が赤葦にむらっときたら、だ。俺は欲望に忠実でありたい。
部屋まで入ると、赤葦はなんだかおしゃれなカンジのコートを脱いだ。
だぶだぶっとした厚手のパーカーを着ていた。
正直赤葦がかっこよくて落ち着かなかったのでなんかちょっと気が抜けた。
昼飯はお互い済ましてあるから、することといえばそう。
いちゃいちゃすることである。これしかない。これ以外ない。
「…苗字。」
「さみいもん。」
「もんとか言うな、可愛くない。」
背後から抱き潰す勢いでハグする。イテェ、と腕を叩かれた。俺もイテェ。
なんだよーデレろよー。
赤葦くんのデレが欲しくなったので、耳元にちゅーしながら囁きを落とす。
「うん、赤葦のが可愛いもんね。」
「か、わいくねえ。苗字やめろ。」
「うんうんかわいいかわいい。」
耳朶、耳の裏、つむじ、襟足、と流れるように何度も何度も口付ける。
しんとした室内に響く布の触れ合う音を聞いていると、なんだか変な気持ちになってきそうだ。
うん、むらっとくる。
これはもしやの、最後までいけてしまうやつではないか。そうではないか。
調子にのって首筋を撫でたり耳朶を引っかいたりしていると腹にとんでもない衝撃が襲ってきた。なにごと、
「っ、ぐ…ぇ。」
変な声がでた。赤葦くんの必殺腹パンチが炸裂したせいである。いたいはくしにそうやばい。
「…腹減った。」
前屈みになって腹を押さえる俺を放って、赤葦はさっさと台所の方へ逃げてしまった。泣きそう。
視界がぼやけた。痛みと赤葦のつれなさと拳の愛の重さに、泣いた。
少したって、食欲をそそる香ばしい匂いが漂ってきたので、俺はなんだなんだと腰を上げた。
「いただきます。」
赤葦はカップ麺を食べていた。
俺をほうっておいて、ふうふうと麺を啜る奴に軽く憤りを感じた。くっそ赤葦クンあとで覚悟しとけ。
俺は踵を返し、ローテーブルに置かれた雑誌を取って開いてみた。バレー雑誌だった。
まじお前バレー好きだよなほんと。妬ける。
ぺらぺらと数ページだけ眼を通したが、デケェ男しかいなくって正直萎えた。
ちらりと盗み見ると、赤葦は箸をちょうど置いたところだった。え、食べ終わるの早い。
と思ったら違ったようで。
部屋は暖房がしっかり効いていて、こたつもあったので温かったのだろう。
赤葦は厚手のパーカーを脱いだ。
ぞわ、と喜びにも似た何かが俺の瞳孔を開かせる。
下は真っ黒の、ぴちっとしたアンダーだった。
…もぉのすごく、むらっときた。
麺食ったら俺が赤葦のこと食うねなんて言えないので、早く麺を消費させてやろうという下心と、
アンダー姿の赤葦を近くで見たいという下心にサンドウィッチされた俺は、すささっと赤葦に近付く。
ゴキブリの如き速さだった。俺を見る赤葦の眼が死んでる。
「何。」
「俺も食べたいなぁって。」
「…一口な。」
「けちー。」
関門は突破した。
この後はベットになだれ込んでにゃんにゃんする予定なので、良い子はベットでおねんねしましょ。
20150225