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面白い動画を集める番組が好きだ。
しょうもないけど、ああいう無謀なことに挑戦したりする根性とか、偶然撮れた産物だとかは見てて飽きないし、面白いと思う。
ただ最近は同じものが繰り返し出てきてたりして、だんだんネタが切れてきてんだろなあと寂しくなった。
だから、世界中の猛者たちよ、もっとたくさんの笑いと驚きを俺たちに供給してくれ。

「この後は?」

CMが割り込んできたタイミングで、隣に座る米屋がそう尋ねてきた。
先ほどの動画の中で、優雅にベッドに寝転んでいた人を思い出しつつ、あれは前に見たことがあるぞと記憶を探る。

「ベッド、」
「、うん。」
「ベッドが、うーん…見たことあるんだよな…。」

思い出せんと唸る俺に米屋がちょっと黙って、サンドされるんじゃないっけと結末を言う。
あ、そうだ、それだ。

「そう!ベッドが人間をサンドするやつ!」
「うん知ってるよ、オレ見たことあるし。」

ここで俺は、俺と米屋の間の会話がきちんと成立していないことに気付く。

ぽつぽつぽつ、沈黙が落ちた。

「、陽介、今のなんの話?」
「この後の話。」

じとりとした陽介の視線に、やっちまったと思った。
あれこれちょっと怒ってる?怒ってる感じ?

「か、かえる?あっいや泊まってく?!うん泊まってけもう遅いし!な!」
「それじゃあご好意に甘えて。」

帰る?と聞いた時の陽介の顔がちょっと引きつって怖かった。ほっと胸をなでおろした時、CMが終わって、番組に戻る。
つられて視線をテレビに向けると、ラグに置いていた手のひらを取られた。陽介に。

「どした?」
「今日、一緒にねようぜ。」

一瞬の思考停止。手の甲の浮きでた血管が、突き立てられた爪になぞられて、我に返る。

「は?」
「寝るだけ、添い寝。」
「…いけません。」
「なんで?」
「うちのベッド壊れちゃうでしょうが。」

何言ってんのこいつ。表情を伺うと、無表情な陽介の視線はテレビの方に向かっていた。なんか怖い。

「壊れても買い換えればいいだろ。」
「…いやそういうことではなくて。」
「ソファで寝た日、いつも辛そうじゃん。」
「やめて遠まわしに俺を歳だっていうの。」

へらへらとした笑みが戻ってきて、少し安心する。
それも束の間、困ったようにに眉が下がる。

「…コイビトなのに、」

なんでダメかなあと、独り言のようにつぶやかれた言葉に気まずさを感じながら目を逸らし、俺はもっともらしいことを口にする。

「恋人だからこそ、な。」

陽介がこれにどう思ったのか分からない。
でも俺の手ェ握って、肩にぐりぐりと頭を押し付けてくるあたり、まだこれを許してくれてるんだろう。

勝手な思い込みじゃないといいんだけどなあ。


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