CLAP THANKS
れんあいゆうぎ04
―――ハッ!
普段とのギャップに心を持っていかれそうになったところでカカシは思い出す。
二人は勝負の真っ最中。
それも。相手を惚れさせれば勝ち、なんてバカげた勝負の、だ。つまりコレはナルトの作戦かもしれないってことで。
カッコいいなんてほめ言葉も。自分以外の人に見せないで、なんてグッとくるセリフも。思わず見とれてしまうこの表情も。どれもオレにしかけた攻撃みたいな、そんなものではないのか?…小細工が出来るような奴じゃないとは思うが、少し用心深くなった方がよさそうだ。
「ナールト。」
一気に冷静になったオレはならば、とお返しにめいいっぱいの笑顔で呼びかけた。
男に効くのかは試した事ないからわからないけど…この笑顔、今まで結構役にたったんだよね。と、自信満々に仕掛けたオレに返ってきたのは予想外の言葉で。
「…先生。その笑顔、気持ち悪ぃってば。」
「は?」
いやいやいや、ちょっと待て。今のはキュン、とかそういう効果音つけてときめくところなんだけど。気持ち悪いって、それはないでしょう。だって。過去に女を落とす時、必ずと言っていい程決め手になった得意の作り笑顔。この笑顔で囁きかければ女達は尻尾振ってついてきたのに。…それが気持ち悪い?
「あのさぁ。無理して笑わなくていいってばよ、うん。先生はいつもの笑顔の方が似合ってるってば。」
ハニカミながらそう言ったナルトにこれも作戦なんでしょ?なんて思いつつも胸が高鳴ったのは内緒。
「オレ、先生の笑顔が一番好き!」
意外にも、男心をくすぐる術を心得ているらしいナルト。だけどオレにだって意地がある。そう簡単には負けてらんないよ。
ドキドキと煩い心臓も、ナルトの甘い罠も聞こえないように耳を塞いで。芽生え始めた気持ちも気づかないようにソッと蓋をした。